銀行員というと高給取りというイメージがあるのではないでしょうか。実態はどうかというと、イメージ通り高給の分類に入ると思います。
今回は、銀行員の年収に関してお届けしていきます。
2016年1月以降、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入によって銀行は一層苦境に立たされており、2020年はコロナの影響で全世界の経済に多大な影響が出ています。銀行自体は今時点で高給であることにはかわりないですが、一生続くかというと予想は難しくなっています。
目次
銀行員の年収と平均年収
銀行員の年収を見る前に、日本の平均年収を見ていきたいと思います。
日本の平均年収は432万円(H29年度最新)
国税庁平成29年分民間給与実態統計調査結果について
銀行員の年収は新人、若手、中堅、と年次が上がるにつれて上がっていきます。
2021年3月期銀行員の平均年収は606万6,000円
日本の平均年収は432万円に対して、国内銀行の平均年収はいくらでしょうか。東京商工リサーチの調査によると、平均年収は606万6,000円とのことです。
国内78銀行の2021年3月期の平均年間給与(基本給与+賞与・基準外賃金、以下、平均給与)は606万6,000円(中央値608万4,000円)だった。前年の607万3,000円(同610万8,000円)からは7,000円減少(0.1%減)し、2年連続で前年を下回った。
引用: 「平均年間給与」調査 銀行トップは三井住友銀行 842万2,000円
日本の平均年収より銀行員の年収は約174万円高いので、銀行員の方が年収は高いです。中央値は608万4,000円ですが、平均年収とのことでメガバンク、第一地銀、第二地銀によっても年収帯にはばらつきがあることでしょう。
2021年3月期平均年収の銀行トップは三井住友銀行
平均年収トップは三井住友銀行で何と842万2,000円です。
平均給与トップは、三井住友銀行が842万2,000円(平均年齢38.0歳)で、3年ぶりにトップに返り咲いた。2位はあおぞら銀行の808万9,000円(同43.3歳)。3位は前年トップの東京スター銀行の801万1,000円(同42.8歳)だった。メガバンク3行は上位10位に入ったが、三井住友銀行を除く2行は前年を下回り、メガバンクでも明暗を分けた。
引用: 「平均年間給与」調査 銀行トップは三井住友銀行 842万2,000円
メガバンクでトップ3を占めると思いきや、三菱UFJ銀行、みずほ銀行はトップ10ではあるものの、3位外の結果となりました。銀行員の平均年齢にも注目はしたいですが、平均年齢が高い=役職も上がっている=年収も高くなっている、というようなことが考えられます。
銀行員の平均年収は下がりつつある
銀行員の平均年収が日本の平均年収よりも高いとはいえ、手放しに喜べない状況もあります。具体的には、平均年収は調査をした78行のうち40行は減少にあります。
78行の2021年3月期の平均給与は606万6,000円で、前年(607万3,000円)から7,000円減少した。中央値は608万4,000円で、前年(610万8,000円)から2万4,000円減少した。平均給与が増加したのは、大手行6行のうち3行(前年4行)、地方銀行45行のうち22行(同24行)、第二地銀27行のうち13行(同13行)の合計38行(構成比48.7%、前年41行)。2018年3月期(増加17行、減少61行)以来、3年ぶりに『減少』行数が『増加』行数を上回った。
引用: 「平均年間給与」調査 銀行トップは三井住友銀行 842万2,000円
増加している銀行と減少している銀行の2パターンがあることを考えると今後銀行に就職する、転職する、今銀行にいる方はどういう違いがあるかはある程度認識しておく方が良いでしょう。
年収に反映できるということはそれだけ収益が高いということの裏返しになるため、年収を上げられている銀行は稼ぐ力がある銀行になるでしょう。
銀行員の年収で1,000万円は超える?
銀行員の平均年収は約607万円ということはわかりましたが、銀行員の年収は1,000万円を超えないのでしょうか。銀行にもよりますが、順当に出世をしていくと年収1,000万円超えは十分狙えるでしょう。
年次でいうと、年収1,000万円を超える時は新卒入社10年目前後になるのではないでしょうか。
具体的に年次ごとの年収を見ていきます。
銀行員の年収:1年目から4年目
ぼくがいたのが4年目になるので、ここまでの給与はリアルなものが提示できます。
1年目年収:約350万円
平均月収:約26万円、ボーナス:約30万円
2年目年収:約400万円
平均月収:約30万円、ボーナス:約40万円
3年目年収:約500万円
平均月収:約35万円、ボーナス:約80万円
4年目年収:約550万円
平均月収:約37万円、ボーナス:約100万円
こんな感じです。よく見ると毎年年収上がっていってるなという感じです。
3年目の11月から、順当にいくと一つ役職が上がりました。それによって月々のベースが上がります。当時は残業がまだ多かった時で、平均月収はもちろん残業代込みです。残業ができない今はもう少し月収が減っているのではないかと思います。
ボーナスは年2回、6月12月の分を合わせて記載しています。銀行員のボーナスに関して詳しくはこちらに記載しています。
参考>>銀行員のボーナス(賞与)は多い?多いのは年功序列の後ろの方だけです
銀行員の給与体系の特徴として、大きく跳ねることはないが一程度安定してもらい続けることが可能、というところです。
他の金融、例えば証券はボーナスで大きく跳ねますが一方月収は低かったりします。
生保損保は銀行に似ているようです。最大手の生保は若干銀行よりも早めに昇進していくようです。
銀行員の年収:5年目から6年目10月まで
この時期は3年目までの年収を前後します。
なので550~600万円前後ということになります。
6年目11月から10年目まで
6年目11月を超えると一つ役職が上がります。
これになると年収としては700万円~900万円というかたちになります。
銀行員の年収:10年目以降は役職によって変わります
10年目以降は最短で課長になれる人も出てくるようです。
課長の手前で年収1,000万円
課長クラスで1,200万円
次長クラスで1,350万円
支店長クラスは、教えてもらえなかったです。
だいたいこのクラスになると、月収で70万円くらいになります。
50歳以降の年収は厳しい|55歳以降の出向だと年収激減!
銀行員限らず、金融マンの最後は出向が待っています。
これだけ大リストラが言われている中、リストラされずに出向まで行ければむしろ優秀なのでは?と思えますが、55歳を境に給与は激減します。
年収はピーク時の50~70%になるようで、だいたいが年収500万円前後、総合職でその水準なので地域総合職だともっと少なくなるようです。
出向はなくとも、もし銀行内に残ったとしても給与は下がります。
参考>>銀行員の出向は倍返しできない?片道切符かどうかは出向する時の年齢と場所による【若手の出向はプラス】
下がったうえで責任は変わらないのでつらいと上司が昔嘆いていたのを覚えています。
銀行の福利厚生は優れている
銀行員の年収はご覧いただいた通りです。加えて銀行の福利厚生は極めて優れています。
具体的にはこちらです。
- 入寮によって月5,000円で住める(寮による)
- 水道光熱費無料(寮による)
- 財形貯蓄の利率が半端ない (年率5%)
他にも、結婚していれば住宅手当も出ます。月々の最も大きい固定費である住居費に対する福利厚生が強いところは銀行の良い所だと思います。
福利厚生が厚いので若手はこの間に貯金ができやすかったりします。若手の間は年収が低くても福利厚生が優れているので楽々やっていけます。
今後の銀行員の年収の上げ方の予想
以上のように、現状は銀行員は割と給与水準も高く福利厚生も優れています。
ただ、冒頭に記載しましたように、メガバンクでは副業解禁、大リストラの宣言、地銀は再編が進んでいると目まぐるしく環境が変わってきています。
今後の銀行員の年収の上げ方の予想ですが、
- 本業で専門性を上げていく
- 転職して年収を上げていく
- 副業でトータルの年収を上げていく
この3パターンと予想します。
本業で専門性を上げていく
銀行員として働いている中で、どの業務に就いているかによってスキルの違いは大きく変わってきそうです。
とはいえ、どの業務に就いていてもその分野のスペシャリストになろうと思えば可能です。
例えば、個人営業の時には資産運用、相続、不動産と幅広く営業をしていましたのでその中で相続に特化した専門家になるとか。
事務方であっても、事務効率の企画立案とその実行力を磨いていけば、別業務でも応用が利くと言えそうです。
専門性高く、実行力のある人に業務が任されていくので、周りの銀行員が出向やリストラにあっても人が減った分年収は上がっていく可能性もあります。
ピンチでもあり、チャンスでもありそうです。
転職して年収を上げていく
銀行員の年収は割と高いものの、1,000万円まで到達するのに少なくとも10年はかかります。
年収を上げていくにあたって、銀行員が今の仕事を活かして転職して年収を上げやすいのは外資系金融、保険の外交員、不動産販売などになります。
とはいえ、転職してすぐに年収が上がった銀行員はぼく含めあんまりいないのも残念ながら現実です。
なので、転職して1,2年はその会社や業界で下がった年収分を取り戻すべく新しい知識、経験をしてキャリアアップしていった結果年収が上げていけると言えそうです。
銀行から転職する時に利用したいエージェント
銀行からの転職に強い転職エージェント・サイトはマイナビエージェント、リクルートエージェント、 doda 、 ビズリーチ です。どれだけ相談、求人を貰ったとしても全て無料でご利用いただけます。
マイナビエージェント については、金融向けの転職支援が厚く銀行時代の同期後輩が良く利用していました。 また、同期や後輩が利用をして担当者が親身だったというのがdodaです。
ぼくの場合は転職するしない関わらず2年目からリクルートエージェントを利用しつつ、4年目ごろにビズリーチ を活用しました。
マイナビエージェント:特に金融出身者に頼もしい金融専門チームがあるため、銀行員含む金融機関の方は利用価値が高いです。若手の転職支援が強く、銀行員含む金融機関に勤めている方ならまず利用しておきたいエージェントになります。
参考>>マイナビエージェントの金融専門チームって?金融機関出身者でキャリアップしたいなら利用価値あり
リクルートエージェント :言わずと知れた最大手。案件数が最も多い会社なので未経験でも挑戦できる会社は見つかる可能性が高いので迷ったらここから申込するといいです。ぼくは新卒2年目から利用していました。
参考>>リクルートエージェントが実際に使ってみて推しだったので評判を書いときます|結局はエージェントとの相性による点は注意です
doda:大手企業の求人も多いので、今の会社からステップアップをしたい、今の会社規模を落としたくない、など規模がすべてではないですがそういったご要望にはマッチしやすいです。なお、担当者の親身さは使った人は口を揃えて良かったと言うので親身に相談に乗って欲しい人は利用しておきたいです。
参考>>【評判】doda(デューダ)の転職エージェントは親身な対応を受けたいなら利用価値あり
ビズリーチ : 他の転職エージェントが持っていないような役職、ポジション、待遇等を兼ね備えた求人をスカウトを通じて紹介してもらえるため登録だけしていてもいいです。
転職エージェントは各社の特色がありますが、担当者によっての当たり外れが大きいです。そのためぼくも最大6社まで利用して最終的には2社に絞りましたが、複数の転職エージェントの方との面談を通じて転職の方向性をすり合わせていきました。
合う合わないは、利用してみてしかわかりませんので転職エージェントは複数利用を行い比較するようにしましょう。
副業でトータルの年収を上げていく
まだ実際にできる銀行はみずほ銀行含めて数社しかないですが銀行員が副業をする流れは出てくると想定されます。
副業解禁とともに、自分の銀行員として培った経験を元に副業に踏み切れる銀行員はトータルの年収を上げていけそうです。
とはいえ、前職の優秀なエリート行員にも聞きましたが副業している暇はないとのことでした。エリート行員が特別忙しい説もありますが、慢性的に銀行員は時間がないので現実的に副業の時間をとるのは難しいのはうなずけます。
副業をする場合には、副業を通じて伸びたスキルを、本業にもいかしていけば、本業でも成果が上がり評価されて結果的に伸びる余地がありそうです。
もしくは、銀行員という抜群の属性と自分の銀行から融資を引っ張れるということから不動産投資を検討することも一つでしょう。銀行を辞めてから思いますが、不動産の一つくらい買ってから辞めればよかったと非常に悔やまれます。
まとめ 銀行員の年収は高い
今回は、銀行員の年収は今は高給取りではありますが、今後1社だけでなく副業もしていく時代になりそうです、という記事をお届けしました。
給与だけ見ると、やっぱり高いと思います。
高いのですが、ある程度の将来の姿が想像できることを踏まえて今後ご自身がどのようになりたいかを逆算するといいと思います。
年収を高めるために、副業するもよし、本業を生かしていくのもよし、転職して年収を高めていくもよしだと思います。
少しでも今回の記事がご参考になれば幸いです。
ありがとうございました。