内部管理責任者(内管責)の難易度は?銀行員の管理職前に取りたい資格を解説
銀行員として支店の責任者や管理職を目指すなら、どこかのタイミングで内部管理責任者という資格を意識することになります。
内管責と呼ばれることも多く、名前だけ見るとかなり難しそうに感じます。ただ、実際の難易度はそこまで高くありません。証券外務員一種を取得できている銀行員であれば、きちんと問題集を回すことで十分に合格を狙える試験です。
一方で、勉強なしで受けてよい試験ではありません。会社経由で受験するケースが多いため、落ちると上司や人事に結果を把握されやすく、地味に気まずい資格でもあります。
この記事では、内部管理責任者の難易度、合格率、試験内容、勉強時間、銀行員のキャリアでどう活きるかをまとめます。
銀行員が出世するうえで必要な資格の全体像はこちらにまとめています。
参考:銀行員は課長まで出世するのに資格を何個取る?答えは10個以上です
内部管理責任者(内管責)の難易度は高くない
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 難易度 | やや易しい〜標準 |
| 合格率 | 会員内部管理責任者資格試験は令和6年度(2024年度)で80.7% |
| 勉強時間 | 10〜20時間程度が目安 |
| 試験方式 | CBT方式 |
| 問題数 | 50問 |
| 試験時間 | 90分 |
| 合格基準 | 500点満点中350点以上 |
内部管理責任者の難易度は、金融機関で外務員資格を取得済みの人にとっては高くありません。目安としては、証券外務員一種と同じか、証券外務員一種よりやや取り組みやすいくらいのレベル感です。
ただし、簡単というより、受験者の多くが金融機関や証券会社の実務経験者であるため、合格率が高く見えやすい試験です。金融商品取引法、協会規則、投資勧誘の管理など、ふだんの業務で見聞きしている内容が多い人ほど有利になります。
日本証券業協会の令和6年度事業報告書では、会員内部管理責任者資格試験の受験者数は16,553人、合格者数は13,359人でした。合格率にすると80.7%です。特別会員内部管理責任者資格試験は、受験者数1,570人、合格者数1,490人で、合格率は94.9%でした。
数字だけ見るとかなり受かりやすい試験です。ただ、会社から受験を指示されている人が多く、受験者側もある程度準備している前提の数字です。何もせずに受けると普通に落ちます。
内部管理責任者(内管責)とは
内部管理責任者は、営業活動が法令や社内ルールに沿って適正に行われているかを管理する役割です。日本証券業協会は、協会員が営業責任者や内部管理責任者を任命するための要件として、内部管理責任者資格試験に合格すること等を求めています。
銀行員向けにわかりやすく言うと、投資信託や債券などの金融商品を販売する現場で、営業担当者が無理な勧誘をしていないか、説明義務を守っているか、取引管理に問題がないかを確認する立場です。
支店の役職者や個人営業部門の管理者に近づくほど、外務員として売る側の知識だけでなく、売らせる側、止める側、確認する側の知識が求められます。内部管理責任者は、その管理側の知識を確認する資格です。
内部管理責任者(内管責)は銀行員の管理職に必要なのか
銀行員全員にとって内部管理責任者が必要というわけではありません。預金・融資中心の部署や、本部の非営業部門で働いている人にとっては、すぐに使う場面が少ないこともあります。
一方で、個人営業を行う支店、証券仲介業務、投資信託や保険販売を扱う部署では重要度が高くなります。将来的に課長、次長、支店長代理、支店長などを目指す場合、営業担当者を管理する立場になるため、内部管理の知識は避けて通りにくくなります。
ただし、資格に合格しただけで責任者として任命されるわけではありません。実際に内部管理責任者として配置されるかどうかは、勤務先の規程、部署、役職、担当業務によって変わります。
元銀行員の感覚としては、内管責は派手な資格ではありません。ただ、支店で上に行く人がいつの間にか持っている資格です。営業成績を伸ばすだけでなく、部下の営業を止める判断もできる人かどうかを見られる段階に入る資格だと考えると、かなり実務寄りです。
内部管理責任者(内管責)の試験内容
内部管理責任者の試験は、営業活動の管理、法令遵守、協会規則、取引所規則、社内管理規程などから出題されます。証券外務員試験で学んだ内容と重なる部分もありますが、視点は営業担当者本人ではなく、営業活動を管理する側に寄ります。
主な出題範囲は以下の通りです。
| 出題分野 | 内容 |
|---|---|
| 内部管理・法令遵守に関する基本的知識 | 内部管理体制、コンプライアンス、役職員倫理 |
| 金融商品取引法及び関係法令 | 投資勧誘、顧客保護、不公正取引の規制 |
| 協会定款・諸規則 | 日本証券業協会の自主規制ルール |
| 取引所定款・諸規則 | 取引所取引に関するルール |
| 社内管理規定 | 営業現場での管理・確認事項 |
細かく見ると、顧客口座の開設、投資勧誘の管理、顧客注文の受託管理、受渡・保管、不公正取引、インサイダー取引などが論点になります。
証券外務員一種で金融商品や法令の基礎を学んでいれば、まったく知らない内容ばかりではありません。ただ、管理者目線の問題になるため、誰が何を確認するのか、どの行為が不適切なのかを整理しておく必要があります。
内部管理責任者(内管責)の合格点・問題数・試験時間
内部管理責任者試験は、CBT方式で実施されます。試験会場のパソコンで解答する形式です。就活時に受けたSPIや、証券外務員試験に近いイメージで考えるとわかりやすいです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問題数 | 50問 |
| 試験時間 | 90分 |
| 配点 | 500点満点 |
| 合格基準 | 350点以上 |
| 得点率 | 70%以上 |
50問で90分あるため、時間が足りなくて解けない試験ではありません。むしろ、選択肢の細かい表現を読み違えないことが重要です。
合格基準は70%以上です。問題集を解くときも、正解数だけで満足せず、選択肢ごとにどこが正しいのか、どこが誤りなのかを説明できる状態にしておくと安定します。
内部管理責任者(内管責)の合格率
内部管理責任者の合格率は高めです。日本証券業協会の事業報告書に掲載されている令和6年度(2024年度)の実績では、会員内部管理責任者資格試験の合格率は80.7%でした。
| 試験種類 | 令和6年度受験者数 | 令和6年度合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 会員内部管理責任者資格試験 | 16,553人 | 13,359人 | 80.7% |
| 特別会員内部管理責任者資格試験 | 1,570人 | 1,490人 | 94.9% |
銀行員の場合、勤務先によって会員内部管理責任者なのか、特別会員内部管理責任者なのかが変わる可能性があります。自分がどちらを受けるかは、社内の案内を確認してください。
合格率だけで見ると、証券外務員一種より受かりやすい印象を持つ人もいるでしょう。ただし、内部管理責任者は一般向けに広く開放された資格ではなく、金融機関・証券会社などの実務者が受ける試験です。母集団がある程度絞られている点は考慮しておく必要があります。
内部管理責任者(内管責)の勉強時間の目安
内部管理責任者の勉強時間は、銀行員や金融機関職員であれば10〜20時間程度を目安にするとよいです。証券外務員一種を最近取得した人や、投資信託・保険販売の管理に近い業務をしている人なら、10時間前後でも合格ラインに届くケースがあります。
一方で、証券外務員を取ってから時間が空いている人や、ふだん金融商品の販売に関わっていない人は、20〜30時間ほど見ておくと安心です。
| 受験者の状態 | 勉強時間の目安 |
|---|---|
| 証券外務員一種を最近取った人 | 10〜15時間程度 |
| 金融商品販売の実務経験がある人 | 10〜20時間程度 |
| 外務員試験から時間が空いている人 | 20〜30時間程度 |
| 法令・規則に苦手意識がある人 | 30時間前後 |
おすすめは、試験日の2週間前から毎日1時間ほど勉強する進め方です。短期集中でも対応しやすい試験ですが、仕事が忙しい銀行員は急な残業や飲み会で予定が崩れがちです。試験日の1週間前に初めて問題集を開くより、少し早めに始めておくほうが安全です。
内部管理責任者(内管責)の勉強方法
内部管理責任者は、独学で十分に対応できます。スクールに通う必要は基本的にありません。勤務先から指定教材や問題集が配布される場合は、それを中心に進めれば大丈夫です。
勉強の流れは以下の通りです。
- 問題集を一通り解く
- 間違えた問題の解説を読む
- 関連するテキスト部分を確認する
- なぜ誤りなのかを一言でメモする
- 同じ問題を再度解く
- 2〜5を繰り返して問題集を3周する
内部管理責任者は、テキストを最初から丁寧に読み込むより、問題集から入るほうが効率的です。出題されやすい論点がある程度限られているため、問題を解きながら覚えるほうが頭に入りやすいです。
特に注意したいのは、不公正取引、インサイダー取引、投資勧誘、顧客注文の管理です。このあたりは実務でも重要で、試験でも問われやすい分野です。
内部管理責任者(内管責)のテキスト・問題集
内部管理責任者の教材は、勤務先から案内されるものを使うのが基本です。会社経由で受験する資格のため、社内で指定教材がある場合は、それに合わせて進めるのが無難です。
自分で用意する場合は、最新版のテキスト・問題集を選んでください。金融商品取引法や協会規則は改正が入るため、古い教材を使うと細かい論点でズレが出ることがあります。
先輩から古い問題集をもらうこともあると思いますが、最新版との差分には注意してください。全体像をつかむだけなら中古でも使えますが、本番対策はなるべく新しい教材で仕上げるほうが安心です。
内部管理責任者(内管責)に落ちた場合
内部管理責任者に落ちた場合、再受験は可能です。ただし、日本証券業協会の外務員等資格試験に関する規則では、不合格となった者は当該受験日から30日を経過する日までは、同規則に定めるすべての試験を受けることができないとされています。
以前は、同一種類の試験に3回連続で不合格となった場合に180日待機となる扱いがありましたが、現在の規則では受験回数にかかわらず30日待機に見直されています。
銀行員の場合、会社経由で受験することが多いため、不合格は会社に把握される前提で考えておいたほうがよいです。1回落ちたから出世が終わるという話ではありませんが、管理職候補としては少し印象が悪くなります。
資格がなかなか取れないと悩んでいる方はこちらも参考にしてください。
参考:銀行員だけど、資格が取れない|対処方法は実績か愛嬌でカバー
内部管理責任者(内管責)の合格後の流れ
内部管理責任者に合格した後の扱いは、勤務先の方針に従うことになります。外務員資格と同じく、資格の取得と実際の業務配置は分けて考える必要があります。
合格したからといって、翌日から支店の内部管理責任者として任命されるわけではありません。会社が必要に応じて、役職、部署、業務内容を踏まえて配置を決めます。
また、外務員として実際に証券業務に従事するには、資格取得だけでなく所属先を通じた外務員登録が必要です。日本証券業協会も、外務員資格を持っているだけでは外務員として活動できないと説明しています。
参考:日本証券業協会 外務員
内部管理責任者(内管責)は転職で評価されるのか
内部管理責任者は、転職市場でも一定の評価材料になります。特に証券会社、銀行、IFA、金融商品仲介業、コンプライアンス部門、内部管理部門などでは、金融商品販売の管理知識を持っていることを示しやすい資格です。
ただし、資格単独で転職が大きく有利になるというより、実務経験とセットで評価されやすい資格です。職務経歴書では、単に内部管理責任者に合格と書くだけでなく、どのような営業管理、顧客対応、コンプライアンス確認に関わってきたかをあわせて伝えることが大切です。
たとえば、以下のような経験と組み合わせると伝わりやすくなります。
- 投資信託・保険販売のチェック業務
- 高齢顧客への販売管理
- 苦情・トラブル対応
- 営業担当者への指導
- コンプライアンス研修や店内勉強会
- 支店の営業管理・事務管理
資格取得をきっかけに、今の銀行で管理職を目指すのか、金融業界内で転職するのかを考えるのもありです。資格の勉強をしている段階は、自分のキャリアを見直す良いタイミングでもあります。
金融機関職員におすすめの転職エージェントはこちらにまとめています。
内部管理責任者(内管責)とあわせて取りたい資格
内部管理責任者は管理側の資格なので、単体で終わらせるよりも、営業・相続・資産形成・不動産系の資格と組み合わせるとキャリアの幅が広がります。
銀行員であれば、まずは証券外務員一種を土台にし、その後に内部管理責任者、FP2級、銀行業務検定の法務・財務・税務2級、宅建などを組み合わせるのが現実的です。
| 資格 | 相性がよい理由 |
|---|---|
| 証券外務員一種 | 金融商品販売の基礎になる |
| FP2級 | 個人顧客の相談対応に使いやすい |
| 銀行業務検定 法務2級 | コンプライアンス・管理職業務と相性がよい |
| 銀行業務検定 財務2級 | 法人融資・審査・管理職で活きる |
| 宅建 | 不動産融資・住宅ローン・転職で活かしやすい |
管理職を目指すなら、売れる資格だけでなく、守る資格も必要になります。内部管理責任者はまさに守る側の資格です。
まとめ:内部管理責任者(内管責)は管理職を目指す銀行員にとって実務寄りの資格
今回は、内部管理責任者(内管責)の難易度、合格率、試験内容、勉強方法について解説しました。
内部管理責任者の難易度は、金融機関職員にとっては高くありません。令和6年度(2024年度)の会員内部管理責任者資格試験の合格率は80.7%で、しっかり準備すれば合格を狙いやすい試験です。
一方で、会社経由で受験するケースが多く、落ちると社内で把握されやすい資格でもあります。勉強なしで受けるのではなく、試験の2週間前から10〜20時間程度を目安に問題集を回しておくことをおすすめします。
内部管理責任者は、名前の通り責任者っぽさのある資格です。ただし、合格しただけで責任者になれるわけではありません。実際の任命や配置は会社判断です。
それでも、将来的に支店の管理職を目指す銀行員にとって、内部管理責任者は取得しておいて損のない資格です。営業する側から営業を管理する側へ進むための、実務寄りの一歩として考えておくとよいでしょう。
