銀行員になると、決算書を読める力だけでなく役席者になると金融法務についても実務経験や知識が求められるケースがあります。
銀行員が取得する資格の中で銀行業務検定(以下銀検)がありますが、中でも法務2級と3級は金融法務の知識を身に付けられる資格になります。
今回は、法務2級の難易度ってどのくらい?銀行員にとっては得意不得意わかれる資格、という記事をお届けします。
法務3級に関してはこちらにまとめています。
参考>>法務3級の難易度ってどのくらい?舐めたら落ちる試験【宅建あればプライドで受かる】
目次
法務2級とは
法務2級に関して簡単にお届けします。
役席者・専担者等を対象に、事故対策を含む法務全般に適切に対処するための応用実践的な知識について、その習得程度を測定します。
引用:経済法令研究会
つまりは、金融法務全般の応用実践的な知識を身に付ける資格です。
銀検2級では法務、税務、財務、と3種類のうちいずれかの取得を求められる銀行とそうでない場合もあるのでご自身のキャリアと相談して受けるといいと思います。
ただ、銀検2級シリーズは役職を上げるためにはいずれかは取得が必要になるケースが考えられるため取れる時に取得しておくほうが良いです。
なお、いずれも3級よりも難易度は上がります。
法務シリーズが銀行員によっては難易度が変わる理由
タイトルに記載しましたが、銀行員にとっては法務シリーズは得意不得意わかれる資格だと思っています。
なぜなら、財務や税務は仕事上で利用することが多いですが金融法務に関しては法務部といった書面を確認する部署などにいないと触れる機会が少ないからです。
財務や税務はリテール(個人営業)であってもホールセール(法人営業)であっても多少なりとも触れる機会がある分法務よりも取りやすいのではと個人的な感想です。
法務2級の難易度と合格率
法務2級の難易度は、他の銀検の2級資格としてある財務2級、税務2級と比較するとこのようになります。
科目 | 合格率 |
法務2級 | 20%前後 |
財務2級 | 20~30% |
税務2級 | 20%前後 |
法務3級は35%程度だったので難しくなります。
また、他の銀検2級の財務、税務に比べると普段から金融法務に触れる機会が少ないため少々難しいのではと思います。
なお、宅建士を持っている人にとっては有利になります。
なぜなら、宅建では民法を扱うため持っていない人に比べて法律に触れているため条文を読むことに抵抗も少ないと考えられるからです。
宅建士の合格率は15~17%くらいなので法務2級よりも難しい宅建士を持っているというプライドも合格を後押ししてくれるはずです。
法務2級に落ちた時
法務2級に落ちた場合は、別日程で再受験ができます。
法務2級に関しては通常6月・10月の年2回実施しています。
法務3級を保有していなくとも飛び級で受験をすることもできるので効率面を考えるといきなり2級を受ける人もいます。
万が一資格を取れなかった場合には、3級と違って上司に怒られる可能性は下がりそうです。
2020年6月の法務2級は中止に
2020年6月の法務2級は中止になったそうです。
理由は、4月7日に東京都でも緊急事態宣言が出されましたコロナウイルスの影響で集団感染を回避しての判断です。
法務2級に関しては、宅建や貸金業などと異なり年1回ではありませんが、1度でも中止になると次の受験は3ヶ月後とかになるので要注意です。
余談にはなりますが、資格取得による出世なども今後はなくなるもしくは資格取得の方法が変わる(オンライン受験など不正対策は必要ですが)かもしれません。
法務2級の試験内容
法務2級の試験内容はこちらです。
- 預金
- 手形・小切手(手形交換を含む)
- 融資(担保・保証、管理・回収を含む)
- その他
なお、試験の方式は試験会場にて筆記形式によって実施されます。
法務2級の合格点
法務2級の合格点は50点以上(満点100点)の得点で合格になります。
他の試験だと満点60%以上の得点が必要ですが法務2級は50%以上で合格ができますが、銀行員生活の中であんまり馴染みのない分野になるため人によっては得意不得意があります。
法務2級の問題数と試験時間
法務2級の問題数はこちらです。
- 三答択一付記述式 10題(1題につき択一部分2点・記述部分8点の配点割合) :180分
記述式問題が10問で180分の試験となり、法務3級の時のマークシート形式よりも試験自体がハードになっています。
1問あたり18分で解く必要があります。
試験終了10分前までは終了すれば途中退席も可能です。
法務2級が受けられるタイミング
法務2級の試験が受けられるタイミングは年2回の6月と10月開催になります。
試験会場は全国の主要都市です。
10月においては、法務3級と2級を午前午後の時間に分かれているため同時受験をすることも可能です。
信託銀行員の方であれば、6月には年一回の信託実務3級の試験を午前に受けることも可能でダブル受験で午後に受ける場合には、法務3級か2級かを選べます。
年に2回受けることができますが、銀行員だと何かと取得を義務付けられる銀行業務検定の試験と他の試験も被ることがあります。
銀行業務検定(銀検) のダブル受験
ぼくは過去銀検のダブル受験を経験しています。
具体的には信託実務3級と法務3級のダブル受験を経験しました。
結果的には、法務3級は落ちました。
というのも、法務3級は最悪落としてもいいかと思っており信託実務3級を落とした時のリスクを考えると勉強の身の入り方が全く異なりました。
ダブル受験に関しては、一気に進められるので受かればいいですが両方落とすケースもあります。
確実に合格を狙いに行くのであれば1個だけ受けるのも手です。
法務2級の試験料
法務2級の試験料はこちらです。
- 8,250円(税込み)
銀行振り込みにて対応をしてくれます。
法務3級は5,500円なので1.5倍も試験料としては高くなるので是が非でも一度で受かりたい試験です。なお、以前は受験料が5,500円と法務3級と同じ受験料でした。インフレの影響を受けて受験料も時期によって寝あがっているため、必ず公式ページを参照してご確認いただきますようお願いいたします。
法務2級の勉強方法
法務2級の勉強方法ですが、独学でテキスト勉強と過去問演習のみでOKです。
資格取得のためにスクールに通う必要は全く不要で、そもそも銀行業務検定に関するスクールはありません。
今後、資格取得の為にスクールを強いて使うのであればオンスクがおすすめです。もしオンスクを活用するのであれば、例えば銀行員が出世の為に取得することになるであろうFP2級や宅建と一緒に勉強するなど、他の資格も見据えて申込をするのが良いでしょう。
勉強方法としては、こちらです。
テキスト、過去問を使った具体的な勉強方法は、
- 一通り過去問を解く
- 過去問で間違っていたところの問題解説をわかるまでやる
- その時にテキストに戻って見直す
- 見直すだけでなく、なぜ間違えたのかをしっかり紙に書いて理解する
- 再度問題を解きなおす
- 加えて金融取引小六法にてどこに何が書いてあるかをマーキングしていく
- 以下2~6の作業を延々繰り返し過去問については3周は行う
地道にこのようにしていって解ける問題を減らしていくのが方法です。
法務2級の問題集と過去問及び金融取引小六法
法務2級の問題集と過去問はこちらを使っていました。
過去問題はテキストに載っています。
最新版を購入するのが理想ではありますが、先輩が問題集や過去問を持っているケースも多いので譲り受けるのがいいかと思います。
それか、メルカリやブックオフなど中古で購入するでもいいかと思います。
法務2級に関しては金融取引小六法の持ち込みが認められています。
なので、テキストの購入に加えて特に小六法の購入は必須になります。
法務2級の勉強時間の目安
法務2級の勉強時間の目安ですが、約60時間程度と言われております。
土日で4時間、平日どこかで4時間取れれば試験の2か月くらい前から勉強する程度で合格はできそうです。
3級の場合は40時間程度で合格できたことを考えると労力は1.5倍ほど増えています。
取れる問題をしっかり取る
法務に関しての試験の傾向は過去問題が割と出やすいところがポイントになります。
注意点があるとすると、法律が変わることがあるところがあり具体的には金融法務に関する制度・法律が変更されています。
その他新設・改正された制度・法律に関しては問題になりやすいので試験前1か月くらいから制度・法律の変更はないかの確認をしていくと良いでしょう。
法務2級は記述式問題になります。
問題数は10問ですが、1問あたり18分となり難しい問題にはまってしまうとすぐに時間を浪費します。
試験に臨む前に、問題解説集の解答例&正解に記載されている平均点を確認してみて無理に難しい問題に挑戦しないようにしましょう。
逆に、よく出るところはしっかり取れるような対策が必要になります。
具体的にはこちらです。
- 預金関係
- 振り込め詐欺
- 手形の偽造変造
- 白地手形
- 手形の善意取得
- 自己宛小切手
- 差押
- 抵当権
- 連帯保証
宅建を持っている人であれば後半の抵当権や連帯保証は頻出なので知識もあると思います。
勉強なしは間違いなく落ちる
法務2級を勉強なしで受ける人は少ないとは思いますが、勉強なしだと当然に落ちます。
宅建を持っていると有利であり金融取引小六法の持ち込みが可能とは言え油断していると落ちます。
一発で合格するように勉強しましょう。
法務2級の合格後の流れ
法務2級に合格すると、合格証書が届きます。
合格後の登録などは特段個人ですることはないので、所属する会社の方針に従えば大丈夫です。
法務2級の求人
法務2級の求人は原則は銀行員なら他の銀行への転職に役立てられます。
例えば現在金融機関勤務で地銀から都銀に転職したいなどに活かすことが可能です。
なお法務2級含め、資格取得を頑張っている銀行員が転職活動を行うのであれば、おすすめの転職エージェントはリクルートエージェント、ビズリーチ 、マイナビエージェントです。
ぼくの場合は転職するしない関わらず2年目からリクルートエージェントを利用しました。 本格的に転職活動を行ったときにはビズリーチを利用しました。
マイナビエージェント については、金融向けの転職支援が厚く銀行時代の同期後輩が良く利用していました。
リクルートエージェント :言わずと知れた最大手。案件数が最も多い会社なので未経験でも挑戦できる会社は見つかる可能性が高いので迷ったらここから申込するといいです。ぼくは新卒2年目から利用していました。
参考>>リクルートエージェントが実際に使ってみて推しだったので評判を書いときます|結局はエージェントとの相性による点は注意です
ビズリーチ : 他の転職エージェントが持っていないような役職、ポジション、待遇等を兼ね備えた求人をスカウトを通じて紹介してもらえます。最大97日間は有料プランも無料で利用できる点も魅力的です。新卒4年目に登録して非公開スカウトをいくつももらいました。
参考>>20代でビズリーチは活用できる? 年収600万円以上ない若手でも活用できるけど若すぎると厳しい
マイナビエージェント:若手の転職支援が強いです。特に金融出身者に頼もしい金融専門チームがあるため、銀行員含む金融機関の方は利用価値が高いです。
資格を取ったうえで、具体的にご自身の将来像を考える上でエージェントの力を借りると一人で悩むよりもはかどります。
ぼくは社会人2年目から転職エージェントを活用していましたが、今時点で転職するつもりはないけど、って方も相談することで今後のキャリアへの疑問が晴れることもあるため気軽に転職のプロに相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ 法務2級は実践的な金融法務の知識を学ぶに活かせる
今回は、法務2級の難易度ってどのくらい?銀行員にとっては得意不得意わかれる資格、という記事をお届けしました。
法務2級は、誰でも受けることができる資格で銀行員が金融法務の実践的な知識を身に付けるのに使う資格になります。
受験者の20%程度は合格できる法務2級で、試験には金融取引小六法を持参できるとはいえ、受験する際にはしっかり1度で合格できるように勉強を進めていきましょう。
この記事が法務2級の難易度、合格率、勉強方法に関して少しでも参考になれば幸いです。
ありがとうございました。