住宅ローンを選ぶ際、多くの人は金利や手数料、返済期間などの諸条件を最初に検討したいと思うかもしれません。しかし、実はそれらを考える前に、まず最初に確認すべきことがあります。それは住宅ローンを実際に借り入れできるのかということです。今回は、住宅ローンを選ぶ前に早めにやっておきたい仮審査(事前審査)について解説していきます。
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目次
仮審査(事前審査)とは?
住宅ローンの仮審査とは、正式申込にあたる本審査の前段階で実施される簡易的な審査のことで、事前審査と呼ばれることもあります。仮審査では、借り手のあなたの情報と購入検討をしている物件の2点をもって審査をしてくれます。結果が出ることで、どれくらいの金額を借りられるのかがわかり、それに基づいて住宅購入を進めることが可能になります。
なぜ仮審査を早くすべきなのか
住宅ローンの仮審査を早くすべき理由は、2点あります。
・借り入れ可能額の把握ができるから
・実際に購入したい物件の場合に次のステップに進められるから
仮審査をしないと、ご自身がいくらまで借り入れできるのかわかりませんし、実際に物件を購入したいとなった場合にエビデンス(この方は本当に購入できるのか?)も出せない状態です。仮審査を通じて、実際に購入に進むためには必須になるため本気で購入を考えているのであればまずは年収の8倍までの金額(物件価格と諸費用8%程度)で仮審査をしてみることをおすすめします。
借り入れ可能額の把握ができるから
仮審査を通じて、自分がどれだけの額を借りられるのかを知ることができます。多くの方は年収の8倍まで借りられるといった情報を参考にされますし実際に借り入れできることもあります。とはいえ、借入金額には物件価格だけでなく諸費用も考慮して検討したいところです。
つまり、年収500万円の方の8倍でしたら物件価格3,700万円、諸費用300万円の4,000万円以内で出してみるということです。
避けておくべき物件条件
仮審査では、物件情報も併せて確認されます。その際に避けておくべき物件がいくつかあります。
・年収8倍を超える金額帯の物件
・築年数が古すぎる物件(1970年代以前)
・再建築できない物件
・借地になっている物件
・ワンルーム、1Kなどの単身者向けの物件
1つ目は借入可能額を超えてしまっているからになるため、そもそも仮審査で借入可能額を把握するという目的からそれてしまうので選ばないようにしましょう。
2~4つ目は物件価格が安いため一見すると選びたくなるような物件になります。しかし、物件に難があり借入するには難易度が上がるため初めから選ばない用が無難です。最近では旧耐震(1981年5月31日までの建築確認において適用されていた基準)の物件でも住宅ローンの借り入れが柔軟になりつつあります。とはいえ、あまりにも古すぎる物件や、そもそも旧耐震物件を避けている金融機関もありますので要注意です。
最後に、単身者向けの物件は購入後に賃貸に出されるリスクがあるため物件状態にかかわらず通過しにくい背景があります。
これらの物件を避けることで仮審査できちんと借入可能額を把握できるようになります。
物件以外に落ちる事例
過去に延滞や滞納がある場合、金融機関の審査で不利になる可能性があります。こうした場合は、担当の不動産会社と連携し、最適な金融機関を見つけることが大切です。
もし延滞や異動になっていた場合、解消してから5年間は住宅ローンの借り入れができないので注意が必要です。
実際に購入したい物件の場合に次のステップに進められるから
仮審査を行うことで、気に入った物件があった場合に買付申込をすぐに出すことができます。売主にとっては、確実に購入できるかどうかが重要な判断基準となるため、仮審査に通過していることで信用を得られやすくなります。
裏を返すと、仮審査に通過していないと買付の受領も拒まれる可能性すらあるためまずは借入できそうなのかを把握してかつ該当の物件で通過している状態にしておきたいところです。
仮審査を進めるのにおすすめの金融機関
仮審査は日本全国どこの金融機関でも利用できます。おすすめの金融機関はメガバンク(三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行)です。メガバンクで仮審査を通過すれば、より信頼性の高い買付が出せるでしょう。もしくは、地方銀行や信用金庫もあなたの情報と物件情報の2面から審査をしてくれる傾向にあるのでおすすめです。
一方でネット銀行などで簡単に行うことができますが、物件の評価まで行われない場合もあるため注意が必要です。借入可能額を把握するという意味では有効ですが、物件が悪い場合、本審査で非承認になって落ちてしまうこともあるからです。
複数比較される中でまずはメガバンクから抑えるようにしましょう。
仮審査を何度もできるの?
仮審査は何度も申込することができます。ただし、万が一落ちてしまった上で何度も申込するのは良くない傾向にあります。そもそも住宅ローンの仮審査で物件情報ではなくご自身の要因が理由で落ちている場合は深刻な問題で、借り入れが難しい可能性が高いです。過去に何かしらの延滞を起こしている可能性があります。
そうでない場合、物件を差し替えてA銀行に3回申し込みした、などは許容範囲でしょう。仮審査の回数については、3〜5回程度が適当です。私自身、過去に物件の差し替え含めると5社に対して仮審査を行いました。恥ずかしながら、狭い部屋で門前払いされた金融機関が2社あり、残り3社は今の自宅で進めたためすんなりと進められました。
物件や金融機関の選択次第で審査結果が大きく変わることもあるため、適切な物件選びが鍵となります。
仮審査後の買付から引き渡しまで
これまで住宅ローンの仮審査の重要性を解説してきましたが、仮審査の後は本審査(正式申込)を行い、引き渡しまで進みます。このプロセスを箇条書きにまとめると以下の通りになります。
・仮審査に通過する
・不動産購入の申し込みをする
・売買契約を結ぶ
・本審査を行う
・金銭消費貸借契約を行う
・司法書士面談を行う
・決済を行い引き渡しとなる
ざっくり記載するとこのような流れになり、購入の申し込みから契約までは通常1週間で実施されます。そのあと引き渡しまではスムーズに行くと1か月で完了になります。
人気の物件や価格の低い物件では、現金一括購入者が優先されるケースもありますが、仮審査を通過していれば次にローンを利用した購入者として選ばれる可能性が高まります。
審査全体に関してさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。
参考>>住宅ローン審査の具体的なポイントや、審査通過のために注意すべき点について解説
仮審査後に検討すべきこと
仮審査が通過した後に、金利や手数料、返済期間、団体信用生命保険などの諸条件を検討することになります。金融機関ごとに条件は異なるため、複数の銀行を比較し、自分に最も有利な条件を選びましょう。
特に、物件の購入契約を結んだ後に実際の借り入れをするのはB銀行です、というように変更することは可能ですので速やかに比較するようにしましょう。
まとめ 住宅ローンの仮審査は本気で買うならすぐやろう
今回は、住宅ローンを選ぶ前に早めにやっておきたい仮審査(事前審査)について解説しました。 住宅ローンを選ぶ際の第一歩は、仮審査を行うことです。借り入れ可能額を早めに把握し、物件選びをスムーズに進めるためにも仮審査を行いましょう。メガバンクを中心に仮審査を行い、その後に金利や条件の比較を進めることで、無駄なくスムーズな住宅購入が実現できます。
今回の記事が、少しでも住宅購入にお役立てできれば幸いです。ありがとうございました。