証券外務員試験の難易度ってどのくらい?銀行員必須の試験のひとつ【一種と二種の違いも解説】
銀行員になると、入行後すぐに複数の試験を受けることになります。業務上必須の資格から転職でも評価されるものまで幅広くありますが、証券外務員試験はその中でも特に重要度が高い試験の一つです。
証券外務員試験は、銀行や証券会社などの金融機関で顧客向けに金融商品の販売・勧誘を行う際に必要な資格です。今回は、証券外務員試験の難易度について、一種と二種の違いも交えて解説します。
ぼく自身、銀行員として入行後すぐに証券外務員一種を取得しました。当時の感覚も踏まえながら、実態に近い難易度感をお伝えします。
結論から先に言うと、銀行員であれば一種から受けることをおすすめします。難易度はそこまで高くないので、しっかり準備すれば1〜2週間の学習で合格を狙いやすい試験です。
銀行員が出世するうえで必要な資格の全体像はこちらにまとめています。
参考:銀行員は課長まで出世するのに資格を何個取る?答えは10個以上です
証券外務員(外務員)とは
証券外務員は、金融商品の販売・勧誘業務を行うために必要な資格です。日本証券業協会によると、外務員とは協会員に所属する役職員のうち、顧客に対して金融商品の販売・勧誘等を行う者をいいます。
わかりやすく言うと、証券外務員資格と外務員登録がないと、顧客に対して投資信託などの金融商品を販売・勧誘する行為はできません。銀行の窓口担当や渉外担当は、入行後すぐにこの資格の取得を求められるケースが多いです。
試験は誰でも受けることができますが、外務員として実際に業務を行うためには、試験に合格するだけでなく、所属先の金融機関を通じた外務員登録が必要です。合格しただけでは外務員業務を行うことはできず、登録が完了して初めて業務ができる状態になります。
なお、合格実績(資格そのもの)は退職後や転職後も有効です。ただし、実際に販売・勧誘業務を行うには、新しい所属先での外務員登録が改めて必要になります。
証券外務員試験の一種・二種の違い
証券外務員試験には一種と二種があり、扱える業務の範囲が異なります。二種は信用取引・デリバティブ取引を除いた範囲に対応する資格で、一種は信用取引やデリバティブ取引を含むすべての有価証券に係る外務員業務を行える資格です。
| 項目 | 一種 | 二種 |
|---|---|---|
| 扱える業務 | すべての有価証券(信用取引・デリバティブ含む) | 信用取引・デリバティブ取引を除く範囲 |
| 出題範囲 | 二種の範囲+信用取引・デリバティブ取引 | 基礎的知識中心 |
| 問題数 | 100問(○×70問+五肢選択30問) | 70問(○×50問+五肢選択20問) |
| 合格基準 | 440点満点の70%以上(308点以上) | 300点満点の70%以上(210点以上) |
| 試験時間 | 2時間40分 | 2時間 |
| 受験料 | 12,169円(税込) | 12,169円(税込) |
一種と二種の大きな違いは、信用取引・デリバティブ取引を含む外務員業務まで扱えるかどうかです。二種でも信用取引やデリバティブ取引の基礎知識は関連科目の中で出題されますが、実際に職務として扱える範囲は一種の方が広くなります。
証券外務員試験は一種から受けるべき理由
銀行員として証券外務員を取得する場合、一種から受けることをおすすめします。
一種から受けるメリットは主に3点あります。二種を取ってから一種を受けるより受験回数・勉強時間のトータルが少なくなること、一種を取得すれば二種の業務範囲もすべてカバーできること、近年の一般受験者の合格率に大きな差がないため段階を踏む理由が少ないことです。
元銀行員の実感として、銀行では内定者研修中か入行直後に一種を取るよう求められるケースがほとんどでした。二種から段階を踏む時間的余裕がないことも多いため、最初から一種を目指す前提で準備しておくのがおすすめです。
ただし、デリバティブや計算問題に強い苦手意識がある場合は、二種から始めて知識の土台を作ってから一種を受けるという方法も選択肢の一つです。
証券外務員試験の難易度:合格率は65〜70%台
日本証券業協会が公表している一般受験者の合格率は、一種・二種ともに65〜70%台で推移しています。2025年度は一種73.1%、二種68.1%、2024年度は一種73.0%、二種64.5%でした。一般受験者の実績では約3人に1人が不合格になる水準のため、準備なしで臨むのは危険です。一方、しっかり対策すれば合格を狙いやすい試験でもあります。
なお、公式ページで掲載されている直近2年分の合格率は一般受験者の実績です。協会員の役職員等として受験する場合は、所属会社を通じた申込・結果確認になるため、社内案内も確認してください。
他の金融資格との比較では、銀行業務検定の法務3級・財務3級と比べて、学習量の目安は近い印象です。ただし、一種はデリバティブ計算に苦手意識があるかどうかで体感難易度が変わります。
勉強なしで受けて落ちるパターンは実際に起きます。ほぼ準備せずに受けた先輩が不合格になるケースは珍しくありません。試験前の対策は必ず行ってください。
証券外務員試験の試験内容:出題範囲と問題形式
試験は大きく3分野から出題されます。試験方式はCBT方式(テストセンターのパソコンで受験)で、一種と二種で出題範囲と問題数が異なります。
1. 法令・諸規則(一種・二種共通)
金融商品取引法および関係法令、金融商品の勧誘・販売に関係する法律、協会定款・諸規則、取引所定款・諸規則が出題範囲です。
2. 商品業務(一種は信用取引・デリバティブが追加)
株式業務・債券業務・投資信託および投資法人に関する業務・付随業務は一種・二種共通です。一種では、信用取引やデリバティブ取引を含む実務的・専門的な知識まで問われます。
3. 関連科目(一種・二種共通)
証券市場の基礎知識・株式会社法概論・経済・金融・財政の常識・財務諸表と企業分析・証券税制・セールス業務が出題範囲です。
問題形式は○×方式と五肢選択方式の2種類があります。○×方式は1問2点、五肢選択方式は1問10点(五肢択二は各5点)です。五肢選択問題のウェイトが大きいため、ここでのミスは合否に響きやすいです。一種では五肢選択30問だけで300点分あり、2問ミスると20点の失点になります。
証券外務員試験のデリバティブ対策
一種の難しさとして最も多く挙げられるのが、デリバティブ取引の計算問題です。先物・オプション・スワップなどの仕組みと計算方法が問われます。数学が苦手な方にとっては取り組みにくい分野ですが、問われる計算パターンは限られているため、問題集で繰り返し練習すれば対応できます。
苦手意識がある場合は、まずデリバティブ以外の分野をしっかり固めてから最後にデリバティブに取り組む順番が進めやすいです。公式を覚えて問題パターンに慣れることが最大の近道です。
証券外務員試験の受験タイミングと受験料
証券外務員試験はCBT方式で通年実施されており、希望の日程で受験できます。日程を先に確定させてから学習計画を立てると、準備が進めやすいです。銀行員の場合は、内定者研修期間や入行直後のタイミングで受験を求められるケースが多いです。
一般受験者の受験料は、一種・二種ともに12,169円(税込)です。予約は受験日の60日前から5営業日前まで可能で、支払いはクレジットカード・コンビニエンスストア・Pay-easyが利用できます。協会員の役職員として受験する場合は、所属する会社の人事部等を通じて申し込むため、社内案内も確認してください。
証券外務員試験に落ちた場合
不合格になった場合、試験日の翌日から起算して30日経過後に再受験できます。金融業務能力検定の5日待機と比べると待機期間が長いため、1回で合格できる準備を整えてから臨むことをおすすめします。
会社から取得を求められての受験であれば、不合格後に上司から再受験状況を確認されることもあるでしょう。一般受験者の受験料は12,169円と決して安くありません。しっかり準備してから申し込むのが得策です。
証券外務員試験の勉強方法とおすすめテキスト・問題集
証券外務員試験の勉強は独学で十分対応できます。専門スクールに通う必要はなく、テキストと問題集の繰り返し演習が基本です。
効果的な学習の進め方は以下の通りです。
- まず一通り問題集を解く
- 間違えた問題の解説をわかるまで読む
- テキストに戻って関連箇所を確認する
- なぜ間違えたかを言語化し、紙に書いて整理する
- 再度同じ問題を解き直す
- 2〜5を繰り返し、問題集を3周する
おすすめテキスト・問題集
定番はうかる!シリーズです。銀行の同期や先輩も同じシリーズを使っていることが多く、試験の出題傾向に沿った内容になっています。1種、2種両方を受験する必要がある方は両方に対応しているテキストを購入するのも一つです。
テキストは必ず最新版を使ってください。法改正や制度変更が出題範囲に影響するため、古いテキストでは対応できない問題が出ることがあります。メルカリ等で中古を手に入れる場合も、発行年度の確認は必ずしておきましょう。
スキマ時間をスマートフォンで活用したい場合は、オンスク等のオンライン講座も選択肢の一つです。ただし、テキストと問題集で対応しやすい試験のため、通信講座は必須ではありません。
証券外務員試験の勉強時間の目安
勉強時間の目安は、受験する種別と業務経験の有無によって変わります。
| 受験種別 | 目安の勉強時間 |
|---|---|
| 一種(初受験) | 20〜30時間程度 |
| 二種(初受験) | 10〜20時間程度 |
| 一種(二種合格後) | 20時間前後 |
業務経験がある場合は学習時間を短縮できることもあります。ただし、デリバティブの計算問題は業務で直接触れていない場合に時間がかかるため、余裕を持って準備してください。試験1週間〜2週間前を目安に勉強を始め、毎日1〜2時間確保できれば対応しやすいです。
証券外務員の合格後の流れ:外務員登録が必要
試験に合格したら、勤務先の金融機関を通じた外務員登録の手続きが必要です。登録が完了して初めて、顧客への金融商品の販売・勧誘業務を行えるようになります。
登録は会社側が日本証券業協会に対して行う手続きのため、自分で手続きする必要はありませんが、入行・入社直後のタイミングで適切に登録されているかを確認しておくと安心です。
転職する場合は、転職先の金融機関で改めて外務員登録が必要になります。合格実績は退職後も有効ですが、登録は所属先とひもついているため、退職時点で登録は抹消されます。
証券外務員取得後の転職・キャリアへの活かし方
証券外務員資格は、金融機関内での評価に加え、転職活動でも活用しやすい資格です。特に証券会社・保険会社・フィンテック企業など、金融商品を扱う職場への転職では、資格保有や入社後の外務員登録が業務スタートの条件になるケースもあります。
ただし、資格単独で転職が有利になるというより、どのような業務を担当していたかという実務経験とあわせてアピールすることが重要です。
転職を検討している方は、まず自分に合ったサービスを確認しておくのが有効です。
ビズリーチはスカウト型のサービスです。一定以上の年収帯や役職を意識した転職を検討している方は、職務経歴を整理したうえで登録しておくと、選択肢の確認に役立ちます。
リクルートエージェントは幅広い業界・職種の求人を確認しやすい大手転職支援サービスです。金融業界内の転職だけでなく、未経験業界への挑戦も含めて比較したい方に向いています。
まとめ:証券外務員試験は一種から受けてしっかり準備すれば合格できる
今回は、証券外務員試験の難易度・一種と二種の違い・勉強方法について解説しました。
日本証券業協会が公表する一般受験者の合格率は一種・二種ともに65〜70%台で、しっかり準備すれば合格を狙いやすい試験です。銀行員として取得を求められる場合は、一種から受けることをおすすめします。
デリバティブ計算問題が一種の難しいポイントですが、問題集で繰り返し練習すれば対応できます。勉強時間の目安は一種で20〜30時間程度です。
受験料や試験ルールは変更される可能性があるため、申込前には日本証券業協会とプロメトリックの公式情報を確認しておきましょう。
公式情報の確認先
本記事では2026年5月時点で以下を確認しています。
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